たまにご依頼頂ける難しい修理を紹介します。
修理は私たちにとって重要で、
太った痩せたの体型の変化や好みの変化はあると思います。
良い服を長く大切に着る為には、修正や修繕は必要になってくるでしょう。
お客様のご希望と修理の現実性をお話しながら、どうして直していくかを決めていきます。
今回はイタリアのラグジュアリーブランドのジャケットです。
テーラードジャケットの全体直しで、直す寸法が大きく肩を修正するものは難しいです。
特に今回の難しいポイントは着丈を7cm短くすること。
ポケットや襟のバランスがあるので、単純に7cm切れば良いという訳にはいきません。
肩と裾で分散して修理します。
修理内容
・身幅詰め・着丈詰め・肩幅詰め・袖丈詰め・袖口のボタンホール・
サイズ50
お客様のヌード寸法からすると2サイズ大きい印象。
10kg以上お痩せになられたのなら仕方ありません。
まずは、服をばらします。
肩を変えると襟と袖も変わるので全体の出来上がりを設計(パターン)でイメージしながら作業していきます。
まずは脇の縫い目線から身幅を小さくします。
この服は縫い代が2cmありました。普通の既製服は1cmしかありません。直す事を前提としていないので、効率重視のものづくりという事でしょう。
2cmでも良心的に感じます。
しかも生地が柔らかいので裏に伸び防止の生地が付いています。丁寧ですね。
身幅の次は肩で着丈を詰めます。
この時点で着丈を3.5cm詰めます。
自然と肩幅も小さくなります。
パターンにもよりますが、肩で3.5cm詰めると肩幅は2cm以上小さくなります。
今回肩幅は1cm小さくするだけで良いので、サイドネックを移動して肩幅を調整します。
全体を確認して、肩のイセ込みを調整しつつ伸びない様に肩を合わせていきます。
裾からも3.5cmカットして全体で着丈を7cm短くしました。
現状肩で3.5cm詰めた分、襟が大きく付かないので襟を小さくします。
その小さくした襟を様子を見ながら取り付けて、バランスを確認します。
この後袖を付けるのですが、アームホールが元の形から変わっているのでアームホールを作り直して、袖を感覚的に付けていきます。
袖付けは感覚です。
よく工場で作られたジャケットの課題として、袖付が良くないということがあります。
パターンで細かく合印を付けて、設計上で完璧に印を合わせて縫えば綺麗に付くと理屈ではそうなのですが、
生地は生き物ですので、縫製上で伸びたり縮んだりします。
生地によって伸縮率も違います。
結局、袖を付ける頃にはアームホールが変化してパターン通りにはならないという訳です。
本当に難しいと思います。
今回はゴージが低いデザインだったのでこれだけ短く出来ました。
元の洋服のバランスによって、どう変えていくかはご相談しながら出来る限り良くしていきます。
まずはご相談ください。